2014年5月20日火曜日

中山近隣にレプトスピラ感染症が発生しました。

レプトスピラ感染症は、犬だけでなく人にも伝染する危険性のある人獣共通感染症の1つです。犬、人ともに感染すると肝臓や腎臓が侵され、黄疸や腎不全になり死亡率は最大7~8割に及ぶこともある怖い病気です。
普段はあまり耳にすることもありませんし、実際昨年度の国内で届出られた犬の感染報告数は約20頭でした。そして、そのうちの1頭が中山近隣に住むワンちゃんでした。

年間20頭というと、巷にありふれ流行しているという病気でも無いように思えますが、レプトスピラ菌はネズミや野生動物が保菌しています。野生動物の尿が汚染源となり感染が広がりますが、レプトスピラ菌が好むところは湿った土壌(川辺や山、沢、田んぼなど)であるため、感染症例は猟犬や水遊びが好きな犬に多い傾向があります。
アスファルトのような乾いたところでは、菌は生息できず通常街中暮らしのワンちゃんに感染する機会は少ないのですが。。。
今回のワンちゃんは家と近所を歩くだけが主体の生活スタイルは完全なCity派でした。
思い当たるとすると、雨上がりの公園を歩いたことくらい。中山周辺は、タヌキもいればイタチにシカ、イノシシが山に暮らしています。野生動物が尿をしていったぬかるんだ道を運悪く歩いて感染が成立してしまったのかもしれません。

ちなみに、レプトスピラ感染症には、インフルエンザにもA,Bのように種類があるように血清型といってカニコーラ、コペンハーゲニー、ヘブドマディス、オータムナリス、オーストラリス等多数あります。
今回の血清型は秋病Cともいわれるオーストラリスでした。

幸い新しくオーストラリスを含んだワクチンができたため、当院の予防ワクチンの種類を秋病C(オーストラリス)を含む予防ワクチンに変更しました。
もちろん、ワクチンは生活スタイルに合わせて選択できるよう、これまでのレプトスピラ感染症を含まない6種混合ワクチン、レプトスピラ感染症を5血清型追加した11種混合ワクチンの両方を用意しています。

ちなみに、昔は田んぼ仕事を裸足でしたり傷口から菌に感染する危険性がありましたが、現在では人の感染例として、トライアスロンなど水中を泳ぐ競技や海外でビーチサンダルなど素足での歩行中の傷からの感染ケースが増えているようです。

滅多にはかからない病気とはいえ、罹ってしまうと重症化しやすい怖い病気です。
これから訪れる梅雨の季節、散歩道にはぬかるみもありますので気を付けましょう!