2012年11月21日水曜日

今月は歯の治療月間でした。

特に、歯周病に季節は関係ないのですが、、、、。今月はなぜだか歯周疾患の患者さんが多くみられました。前回は犬の話をしたので、今回は猫ちゃんの歯肉炎の写真を載せてみます。



歯肉だけでなく舌や矢印のように口の奥、のどの入口まで、赤く腫れて炎症を起こしています。口の周りが汚れてきて、触られると痛がり食べることが出来なくなり来院しました。こういった猫の慢性歯肉口内炎の原因は確定していませんが、口腔内細菌や細菌の出す毒に過剰に反応して起こるのではないかと推察されています。また、最近ではウイルスの関与も推察されています。口腔内の清掃や、抗生物質、ステロイド、抗炎症剤など様々な内科療法が試みられますが、完治しないことが多く、現在のところ、全臼歯抜歯(奥歯を全て抜く)、あるいは、全顎抜歯(全ての歯を抜く)が最も効果的で完治を望める可能性のある治療法とされています。
この猫ちゃんの場合は、全臼歯抜歯といって奥歯を全て抜歯する治療を行いました。

なにもすき好んで歯を根こそぎ抜くわけではないのですが、痛みの元凶となる歯がなくなるほうがよっぽど生活の質の向上が見られて、よく食事がとれるようになるからなのです。正直な話、抜歯はする方も大変です。小さな猫の歯根を折って残さないように慎重に慎重に、時間も労力も気もすり減らせてやっています。

今月治療した猫ちゃんではありませんが、治療のビフォアー、アフターの写真です。
今までの慢性歯肉口内炎の中でも相当酷い症例だったのですが、、、
舌の裏側まで潰瘍と肉芽腫(炎症で赤く盛り上がった部分)が出来ていましたが、全臼歯抜歯後かなりよくなりました。



とはいえ、皆がみな抜歯適応というわけではありません。腎臓の病気や猫エイズや白血病ウイルスの感染など何か他の病気があれば、口の治療だけでよくなるものでもありません。
口が臭う、よだれが多い、食べたそうにはするが食べない、口を触ると痛がるなど何か口の病気のサインがあれば、まずはお早めに動物病院に相談してみてください。