2011年4月27日水曜日

フィラリア予防の季節が今年もやってきました。

4月から5月いっぱいは、健康なワンちゃんたちが動物病院に行く恒例行事である狂犬病の予防とフィラリア予防の季節です。
おなかの虫なら駆虫すれば死んで便に出ます。しかし、フィラリア感染している状態で予防薬を投与すると血管内に寄生するミクロフィラリアという子虫が大量に死に血管に詰まったり、ショックなどの副作用を引き起こすこともあり危険です!

当院では、フィラリア感染の有無を検査してから、ワンちゃんの体重にあったお薬を処方しています。フィラリア予防薬は飼い主さんだけが来院してお薬のみを出すことが出来ない種類の要指示薬となっているのもそのためなのです。

フィラリアに感染しているかどうか調べる検査は血液検査で行います。
当院で行っている検査の内容を紹介します。
  •  抗原検査                                                                                                            

当院では、処方の前に子犬を除くすべてのワンちゃんで行う検査です。(蚊に刺されてからフィラリアがおとなになるにも7ヶ月程かかるため、子犬では検査を行いません。)
フィラリアに感染しているワンちゃんの血液中には、フィラリア虫体の成分(抗原)が含まれています。
写真のように、青いサインが出てくる場合には、感染していると判定するキットを用いて検査を行います。

  •  直接塗抹検査
 
ワンちゃんから採取した血液を直接、顕微鏡で観察する検査です。
心臓にフィラリアの親虫(♂と♀)がいると、血液中にミクロフィラリアと呼ばれる子虫が出てきます。顕微鏡検査で、このミクロフィラリアが見つかれば、心臓にフィラリア寄生があるということになります。
簡単で、安価という利点はありますが、フィラリア感染犬で常にミクロフィラリアが検出されるわけではありません。時間帯、感染時期によって血液中に現れたり、現れなかったりすることや♂や♀だけの寄生では子虫は生まれません。(これをオカルト感染とよびます)。
つまり、この検査結果が陰性でもフィラリアに感染していないとは診断できないため、抗原検査も実施しているのです。

 
今回は検査について書きましたが、また、病気についても今度の機会にと思っています。

検査について書いたのは、毎年予防はしていたというワンちゃんだったのに何頭かは感染してしまっていた事実が実際に毎年あるからです。

予防が大切だからといって、「昨年飲ませ忘れたお薬がいくつかあるわ!」と、感染の有無を確認せずに薬を投与していませんか?
検査も10分ほどで結果が出る簡単な方法です。
是非、病院で検査を受けてから安心して予防を始めてくださいね。