2011年9月12日月曜日

辛くて悲しい野良猫問題

20~30年前にはよく近所で見かけた野良犬も今は減少して街中では殆ど見かける機会はなくなったように思います。
それに比べると、ノラ猫は街中なら食事も豊富にあるためか、数も増大して深刻な近隣問題に繋がっています。食事だけを与えられればいくらでも増えることができますが、野生では増えた猫みんなが健康を維持した状態でいられるわけではありません。

鼻気管炎を患う拾われた子猫
近隣ではゴミをあさったりトイレの問題、恋の季節には夜中も鳴いたりといろいろなトラブルがつきまといます。
食事を与える方すべてが不妊手術を行なって世話をしているわけではないために、猫の増大を抑えることができません。
数だけ増えて伝染病が蔓延すれば、猫の健康管理を行なって世話をすることは到底不可能になります。

 写真のような子猫をかわいそうだから拾ってきたけれど自分は飼うことはできないから動物病院や保護センターで面倒を頼みますとおっしゃる方が後をたちません。(お願いに行くのと違って無責任に動物を捨てるのはもってのほかですが!)

拾った方が責任を持って子猫を家族に迎え入れ大事に育ててくれる場合は、とても尊敬し嬉しく思いますが・・・、とはいえそうもいかずかといって見捨てておくことも出来なかったというやさしい気持ちもわからなくはありません。
全ての命が救われるだけのゆとりがあればいいですが、どこもそんな猫や犬で既に手一杯で、引き取れないのが現状だと思います。衛生的かつ健康的に管理していくにはお金や人手がたくさん必要です。餌をあげれば終わりではありませんし、野良猫のために動物病院や保護センターでは勝手にお金や人手が集まってくるわけでもありません。
実際には目の前の子猫だけがかわいそうで困っているわけではなく、見えないところ例えば動物管理センター・保健所では引き取り手が無く処分されてしまう命もたくさんあるということも知っていて欲しいです。(是非、広島市内だったら保護活動をしてるパウズハートさんや犬猫みなしご救援隊さん、動物管理センターの見学を一度お勧めします。)

こういう話を書いたのも、子猫を拾ったけど自分の猫ではないから世話をしてくれるところを探しているとか、猫をひきとって代わりに飼い主を探して欲しいといろいろな相談を受けるからです。

当院では、飼い主探しのためのポスターを作ってもらって院内に掲示することには協力いたしますが、猫を引き取るという依頼は申し訳ありませんがお断りさせていただいています。お預かりする場合には、責任をもって引き取りにきていただくこと、お預かり料金をいただくことを御了承ください。

そんなこともあって、

野良猫達に不妊去勢手術を施した上、元のテリトリーに戻す事で繁殖を防ぎ、今生きている不妊去勢済の猫については一代限りの命として地域の皆様に暖かい目で見守っていく。
そして、餌やりをする場合は後片付けや掃除も含めて適切に行う、
その他、トイレの設置を行ったり、地域の猫については地域の人間が把握していく…、
といったTNR活動が最近盛んに言われるようになってきています。
都会では行政が関わっての活動がたくさん報告されてきています。

TNR活動とは?
行政と地域の人が協力体制と管理が行き届けば、不幸な猫の数も減ってくれるし、ゆくゆくは世話をしてあげられないということで無力の自分を責めたり悲しい思いをする人達も減ってくれるのではないかなあと思います。